こちらでは、合唱団を意のままに操る事の出来る「加減速(かげんそく)」についてお伝えしていきます。加減速は、その習得がなかなか難しいのですが、その分、使いこなせるようになると莫大な効果を発揮します。それこそ、合唱団の声を自在に操れるように…笑
独学で学ぶ合唱指揮法講座4
それでは、加減速についてお話をしていきます。
まず、加減速がどういうものなのかについて簡単に触れて、
そのあと、具体的な習得方法をお伝えしていきます。
加減速とはどんなものか?
加減速とは、「加速」と「減速」をくっ付けた言葉であり、
一つの動作の中に、「加速」と「減速」の両方を取り入れることから、
その名前がついています。
で、何のために加速と減速をと入れるかというと、
指揮の動きを自然に見せるためです。
この、指揮の動きを自然に見せる
という考え方は非常に重要な考え方で、
どういうことかというと、ちょっと次の動画をみて下さい。
(最初の30秒くらいでいいです☆)
トランポリンの映像です。
この映像で、女性がトランポリンを使って跳ねているのが分かるかと思います。
トランポリンで1回跳ねる時って、
その1回の中に、加速と減速の両方が入っているのが分かりますか?
図で表すと以下の感じですね。
(人がひっくり返ってるとかそういう突込みはスルーで^^;)
頂点から地面に向かって加速していき、
トランポリンで跳ねる直前がMAXスピード。
トランポリンで跳ねた後は頂点に向かって減速していき、
頂点で一瞬速度0になります。
……で。
何でこの動きを見せたかというと、
この、トランポリンで跳ねる動きって、
ものすごく自然に見えませんか?
「いやいや、トランポリンとか使ってる時点で”不自然”だろ(汗)」
というのはちょっと置いといてもらって(笑)、
トランポリンで跳ねた人が、
頂点に向かってだんだん減速していって、
頂点でいったん静止した後に、
地面に向かって加速していくっていう現象。
これが自然に見えませんか?という話です。
もっというと、トランポリンで跳ねる人を見て、
「あ、この人、次はあの辺で頂点を迎えるんだろうな~」
って感じないでしょうか?
こんな感じで、
加速と減速が適切に取り入れられている動きというのは
ある程度予想できるものなのです。
で、もうお分かりだと思いますが、
このメカニズムを指揮に取り入れようってのが、
加減速の試みなのです!!
[deco_bg image=”postit1″ width=”600″]
補足(他にもこんな例があります)
- ボールを上に向かって投げたときの動き
- ジェットコースターで1回転するときの動き
- 振り子の動き
[/deco_bg]
加減速の具体的な習得方法
「ガクさん、加減速がどんなものなのかは分かりました。
でも、一体どうやって習得するんですか?」
当然、このように思われると思いますので、
続いて、加減速の練習方法に移っていきます。
これには2つ練習方法があるのですが、
始めにきちんとお伝えしなきゃいけない事があります。
それは、
どの練習方法も、確実に効果はあるのだけど、
それでも加減速の習得には、非常に時間がかかる
という事です。
練習したことは決して無駄にはならないのですが、
習得に至るには、確実に時間がかかります。
これはもう、これまでに100人近く教えてきた経験から分かります。
そして、ほとんどの人が
きちんと習得できる前に諦めてしまう事も…
ですが、やることやれば確実に出来るようになるものなので!
………
という事で、さっそく本題に移っていきましょう。
加減速習得のための練習方法には、以下のようなものがあります。
- 大きく腕を動かす練習
- 0距離から動かす練習(通称:ポン)
1.大きく腕を動かす練習
こちらは、読んで字のごとく、腕を大きく使って加減速を体現していく方法です。
やり方はいたってシンプル。
腕を”トランポリンで跳ねる人”に見立てて動かしていくのです。
まず、利き腕を体の前に伸ばしてください。
(軽く曲がっている状態です=ピンと伸ばしていない状態)
その状態で、1拍子の指揮を振ってみます。
その時にいくつかポイントがあって、
[check_list image=”check3-r”]
- 手および腕は脱力した状態
- 手は軽く握るか、軽く開いているか、どちらも可
- 打点を打つ時に、トランポリンで跳ねる感覚を意識
- 打点の位置は、おへそ以上、みぞおち以下が望ましい
- 頂点に向かって減速し、頂点で一瞬停止
- 下端に向かって加速し、最下点でMAXスピードを迎える
[/check_list]
なんといっても、一番のコツは
手をトランポリンで跳ねる人に見立てること。
正直な話、
これは理屈で考える人よりも、
イメージを体現できる人の方が、上達は速いです。
ですので、「アホらし…」と思わずに、
一度、本気で取り組んでみることをオススメします^^
2.0距離から動かす練習(通称:ポン)
★この練習は、机など平らなところで行ってください。
この練習も、やり方はいたってシンプル簡単です。
まず、机の上に利き腕を置いてください。
ちょうど、
肘と手首の間が机との境に来るような感じで、
腕をべたっと机の上に置きます。
そうしたら、その状態から
腕を上方にポーンッと跳ね上げます。
跳ね上げた腕は、
空気抵抗と重力に従って減速していき、
放物線の頂点を迎えたところで一瞬速度0に、
その後、下方に向かって加速してきます。
感覚的には、
大砲の球を打ち出すような感覚です。
(↑ こんなイメージです)
練習1と同じように、ポイントをいくつかまとめておきます。
[check_list image=”check3-r”]
- 手および腕は脱力した状態
- 力を加えるのは一瞬、手が机から離れた直後には脱力している
- 跳ね上げた手は、頂点を迎えたらストンと下へ
(この時、机にぶつからないように…) - 跳ね上げる直前に、机を押し込まない
(下方へのエネルギーは0、全て上方へのエネルギーで)
[/check_list]
この練習のコツは、
とある筋肉を意識することにあります。
その筋肉とは、
腕を90度に曲げて、グッと拳を握った時に、
ちょうどひじの反対側(体の内側)に出てくる筋肉。
これは、一部界隈(笑)では「指揮者筋」などと呼ばれていて、
ここを意識すると加減速は上手く行く傾向にあります。
まとめ
ということで、加減速について説明をしてきました。
感覚的な部分が多いので、
理解しずらい、実感しずらい箇所もあるかと思います。
そういう場合は、TwtterよりDM(メッセージ)を下さい。
分からない部分、実感できない部分について、
丁寧に解説させていただきますので^^/
ってことで、続いて第5回の講座です↓
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