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合唱指揮法独学講座5|モデリング

こちらでは、あなたの指揮の上達スピードを驚異的に加速させる「モデリング」についてお伝えしていきます。モデリングを真剣に行えば、あなたの指揮は、たった一晩でも、まるで別人になったかのように上達することができます。そんなモデリングの説明や、具体的な実践方法についてです。

目次

独学で学ぶ合唱指揮法講座5

という事で、モデリングについてのお話です。

モデリングとは、端的に言って
真似をする事
です。

他の指揮者の動きを真似する事、
それを本サイトでは「モデリング」と呼んでいます」

モデリングの効果

「ガクさん、モデリングって結局は真似でしょ?本当に効果あるんですか?」

答えは、YESです。

書道然り、武道然り、
物事の多くは、いわゆる「模倣」から始まります。

ありていの言葉で表現すれば、
「模倣は創造の始まり」なのです。

そしてそれは、
指揮においても例外ではないのです。

………

僕がかつて、合唱団で指揮者になったばかりの頃。

その頃の自分は、基礎中の基礎的な指揮しかできず、
ただきれいに形をなぞるだけ。

表現もへったくれもない状態でした。

しかも、テンポ感も微妙だったため、
正直、メトロノームを代わりに置いた方が
遥かに練習が捗るんじゃないかって程でした。

そんなある日、
合唱団で外部の先生をお呼びする機会がありました。

外部の音楽家の先生を呼んで、
今練習している曲について、アドバイスをもらうという企画です。

そこで、僕の担当していた曲についても
指導をしてもらいました。

その指導は30分もないくらいの時間だったのですが、
実際に先生が合唱団の前に立ち、
指揮を振って、曲作りに関する沢山のヒントをくれました。

先生の指揮で、合唱団は非常にのびのびと歌っていました。

僕が前に立って練習するときよりも、
遥かに良い声、良い音楽ができていました。

(そりゃ指揮初めて1年弱の人間と、
プロの音楽家が指揮するのじゃ、
違いが出て当然なんですが…笑)

ですが、そこで気が付いたのです。

「じゃあ、この先生の指揮を丸々コピーすれば、
自分が指揮を振っても、似たような音楽が作れるんじゃないか?」

そうと分かれば、やることは単純でした。

その日の練習風景は、
ビデオカメラにバッチリ収められていました。

僕はそれをキープすると、
次の日の練習に向けて、
一晩中先生の指揮を真似し続けたのです。

指揮の振り方はもちろんのこと、
姿勢、表情、身体の揺らぎ、コメントの仕方、
どういう音が聞こえたときにどんな指示を出しているか等々…

夜明けの直前まで、何度の何度もビデオを再生し、
そのビデオから読み取れることは何でも読み取ろうとしました。

そして迎えた翌日の練習。

僕は一晩掛けて体に刻み込んだ指揮で、
練習を行いました。

するとどうでしょう。

出てきた声(音楽)は、
今までの自分の指揮では決して導き出せなかった、
非常に生き生きとしたものでした。

前日の先生練の効果に加え、
「なんでコイツ昨日までとこんなに指揮が違うんだwww」
という合唱団のワクワクが伝わってくるようでした(笑)

一通り練習した後、
「実は昨晩掛けて先生の指揮をコピーしてみたんですよ」
とカミングアウトしてみると、

合唱団はニヤニヤしながら
僕の新しい指揮のスタイルを歓迎してくれました。

………

という実体験があるくらい、
指揮のモデリングってのは有効なんですね。

それこそ、この話の通り
たった一晩で効果が出てしまう
そのくらい即効性のあるものなんです。

 

「でもー、音楽って芸術じゃないですか。それを真似していいんですか?」

実は先ほどの話には後日談があります。

その日の練習後も、
僕はひたすら先生の指揮のコピーを続けました。

それこそ、何日間も
同じビデオを巻き戻しては再生していたのです。

そんな風にしていくと、
だんだん自分の中に変化が起こってきました。

最初にビデオを見たときには気が付かなかったことが、
日が経つにつれて、段々と分かるようになってきたのです。

例えば、

「あ、この時って、右手はこうだけど、左手はこう動いてたんだ!」

「よく見てみると、この時は若干指揮のスピードを落としてるぞ…」

「指先の動きも、場面によって変化させているんだ!」

こんな感じです。

こうして、さらに気づきを増やしていくと、

ある時、

「この時って、先生はこう考えてるから、こう指揮を振ったんだな!」

ってのが分かるようになってきたんです。

これってどういうことかというと、
先生の指揮を何度も分析していった結果、
先生が曲をどういう風に捉えているかが分かってきたのです。

つまり、
先生の曲に対する音楽観
が読み取れるようになったのです。

感覚的に分かる、じゃなくて、
頭で理解できる、状態。

この差って、
モデリングするものにとっては非常に重要で、

ただ感覚的に分かるだと、
その場こっきりとで終わってしまうんですが、

頭で理解できる状態にあると、
「じゃあ、違う場面だったら先生はどう考えるかな?」
ってのが分かるようになるんです。

その人の
音楽の作り方、音楽に対する考え方
が分かるんです。

すると、どうなるかというと、
音楽の考え方のコツ
が分かるようになるんですよ。

このコツがわかってくると、

「この人は、この部分を○○って風に考えるんだな~」
っていうのが、

「あ、でも▲▲って考えてみたら面白いんじゃないの?」
って発想に飛ぶようになるんですね。

そうすると、
それはもはやただの真似ではなくなるんです。

最初は確かに真似だったかもしれませんが、
究極的に突き詰めていった結果、
思考のステージがひとつ上がるんです。

ステージが上がって、
ただの模倣が、創造に変わっていくんです。

………

ってことで、まず一つの結論です。

モデリングはあなたの指揮を確実に上達させます。

 

モデリングの具体的な方法

ってことで、前置きが相当長くなりましたが、
モデリングの具体的な実践方法についてです。

[deco_bg image=”postit1″ width=”600″]
モデリング実践方法

1.お手本にする指揮者を見つける
2.その指揮者の指揮を徹底的に真似する
[/deco_bg]

具体的な方法は以上です。

………

 

……

 

 

「え?これだけですか??」

と思ったあなたに、いくつかポイントをお伝えしておきます。

[deco_bg image=”postit1″ width=”600″]
[check_list image=”check3-r”]

  • 指揮の動きはもちろん、その他のあらゆる情報を読み取る
  • 表情や指先の動き、姿勢、胸の開き具合、目線の送り方等々
  • 左右の指揮の動きだけでなく、前後の動きにも注目する
  • 「なんで、その動きをしたのか」を考えるクセを持つ
  • 完全コピーしてやるぜ!くらいの意気込みで行う
  • 動きが全く分からなくても、諦めない
    [/check_list]

[/deco_bg]

こんなところですね。

もし、身近にお手本になるような指揮者がいないって場合は、
YouTube等でこうした動画を見つけてくるのもアリです。

この先生は、昔モデリングの対象にさせて頂きました^^

 

まとめ

ということで、モデリングについてでした。

加減速よりも、はるかに分かりやすかったかと思います^^

一点注意というか、覚えておいてほしいのですが、

モデリングは、やればそれだけうまくなるんですが、
モデリングの効果、というか恩恵を最大限に受け取るためには、
姿勢や底辺、図形、加減速など、これまでの要素の習熟が不可欠です。

正確には、不可欠!ではないですが、
それら下地があった方が、モデリングの効果は早く現れます。
(僕の実体験がそうだったように。)

ですので、いきなりモデリング!でも構わないのですが、
底辺や図形といった、地味でコツコツとした練習も、
続けていくと良いのかなーと感じます。

そういう地味練をまじめにやれる人は、
これまでの経験上、指数関数的に成長していけます。

伸びる人と伸びない人、どちらも見てきたので
これはかなりの確度で当たります。

………

そして今回で、
全6回の合唱指揮法講座は終了になります。

図形とか、底辺とか、加減速とか(笑)
色々と分かりにくい箇所等あったかと思います。

そういう場合は、
コメント欄に書いていただいたり、

あるいは、
Twitterでコメント、DM等していただければ、

丁寧に分かりやすく対応させていただいております。
(最近はTwitterからの連絡を多くいただいています♪)

それでは、これからも指揮の世界を楽しんでいってください!

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