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合唱コンクールで使える指揮のコツ|楽譜の分析編

指揮者の仕事のひとつに「楽譜分析」があります。

楽譜分析は、ガッツリやろうとすると、際限なく行えてしまうのですが…

こちらでは、

  • ピアノが弾けなくても
  • 和声の知識がなくても

つまり、音楽的な専門知識・技術がなくても行える、楽譜分析のテクニックを解説します。

目次

楽譜を分析する

詩を読む

まずは詩を読むことから始まります。

最初はそんなに難しい事を考えなくて構わないので、「詩だけ」を読んでみましょう。

すると色んな感想が出てくるはずです。

暗い歌詞だな~とか、難しい言葉が多いな~とか。

あるいは、全体的に赤っぽいイメージだなぁとか、そういうイメージでも構いません。

大事なのは、何となくでもイメージを持つことです^^

イメージを膨らませる

何となくでもイメージをつかめたら、次は細かい部分に対して、丁寧にイメージを膨らませていきます。

言葉や助詞の一つ一つに気を付けて、その単語から連想されるイメージ、その文章から連想される風景のようなものを丁寧にイメージしていきます。

この時は、もちろん丁寧にやって欲しいのですが、その時点ではどうしてもわからない箇所とかもあると思います。

その時は、それでOKです。

分からない場合は、分からないでよいので、分からなかったという事を覚えておいてください。

で、そのイメージが、曲全体に及んだら、歌詞を読むのはいったん中止です。

続いて、音を付けて聞いてみます。

音を聞く

歌詞を読んだら、続いて、音を付けて聞いてみます。

ここでも、やる事はやっぱり一緒です。

メロディーやハーモニーと歌詞を合わせて聞いて、どう感じたか、どんなイメージを持ったかを考えていきます。

で、ざっくりとしたイメージが出来上がったら、今度は細かく、丁寧なイメージを膨らませていきます。

とにかくイメージを膨らませる

この2つの作業、

  • 歌詞を読んでイメージを膨らませる
  • 音を聞いてイメージを膨らませる

をきちんと行えば、その音楽に対して、大まかなイメージが出来上がるかと思います。

そうしたら、それを基に、練習を組み立てていけば良いのです。

楽譜分析の例

とは言っても、抽象的な説明が多かったと思うので、ここで少し詳しく例を出してみます。

具体的な例

例えば、『赤とんぼ』って曲がありますね。

夕焼け小焼けの 赤とんぼ

負われてみたのは いつの日か

で、これに対して、

  • 歌詞を読んだイメージ
  • 音を聞いたイメージ

の2つの作業を行っていきます。

歌詞からのイメージ

夕焼け小焼けの 赤とんぼ

まず、この歌詞を見たときに、なんとなく赤っぽい印象を持ちました。

「夕焼け」や「赤とんぼ」というワードからですかね。

赤々として、ちょっぴり優しい&寂しい感じの夕日をイメージしてしまいます。

そして、温かい空気を感じます

負われてみたのは いつの日か

次にこちらの歌詞ですが、

「おんぶされて(背負われて)夕日を見たのは、いつの日の事だったか」

と回想しているシーンです。

夕方、周囲を山に囲まれた田園のあぜ道みたなところを、誰かにおんぶされて散歩でもしているのかな?

おんぶされているということは、背中の体温とかも感じられて、あとちょっぴり揺れているかもしれないな。

なんてことが想像できます。

他の視点

これは例なので、ざっくりとやっていますが、実際の曲の解釈をするときは、もう少し細かく踏み込んでいきます。

具体的には、以下のようなポイントです。

  • 夕焼けは何時ころ
  • 目の前にはどんな風景が
  • カラスなんかが巣に帰るところかもしれないな
  • ここは何県だろう
  • 地面は舗装されてるかな、畑道かな
  • 自分と、背負う人以外に誰かいるかな
  • 気温は何度くらいかな
  • 風は吹いているかな
  • 背負っている人はどんな服を着ているかな
  • どこに向かって歩いているのかな
  • どこから来たのかな

ダラダラとたくさん書いてみましたが、このようなことを考えていきます。

「質問をたくさん出すことが大事なのかな?」と思われたかもしれませんが、そうではないです。

歌詞に描かれている情景を、よりリアルに、より繊細に想像するって感じです。

多分、最初の内は全然うまくできないと思いますが、とにかく頭を動かし続けることが重要です!!

音からのイメージ

続いて、音からのイメージです。

想像しやすいようにYouTubeから音源を借りてみました。

理由は後で書きますが、あくまで参考程度ってことでよろしくお願いします!!

まず、低い音から「ゆうやーけ」と始まりますね。

この時に「なぜこの音の動きをするのか」を考えます。

もう少し別の言い方をすると、

この作曲者は、無数にある音の動きの中から、なぜわざわざ、低い音からだんだん上昇していく音型を選んだのか?

を考えるのです。

これに関しては、正解というものがありません

恐らくこうだろう、という推測はできても、確実な答えは、作曲者に聞いてみないと分からないからです。

ですから、失敗を恐れずに、色んな考えを出すことが大事です。

例えば

私はあの上昇音型を聞いたときに、もしかしたら「泣くのを我慢しているのかな?」と思いました。

泣くのを我慢していて、「こやけぇの」の部分で、一番高い音になるかなと。

あるいは、下から上に音が上がることによって、トンボが下から上にスーッと飛んでいくのを表現しているのかなとか。

あるいは、遠くに山々が広がっていて、その雄大さを表現しているのかもしれないなとか。

こんな風に考えた中から、一番曲のイメージと合うものを選んでいくのです。

前後のイメージと、ぴったり世界がつながるように、丁寧にイメージを作っては、検証をしていくのです。

こんな風にして、曲のイメージを作っていきます。

そうすると、他の誰のでもない、あなただけの音楽が出来上がります。

大切なのは…

ここまで説明してきて、大事なのは

  • WHY
  • SO WHAT

の2つの視点だということに、何となく気付いてもらえたでしょうか?

WHY:なぜこの表現なのか?

SO WHAT:その表現によって何を表したかったのか?

なぜこの音型なのかな?という疑問を持つ。

そして、その音型で何を表現したかったのかな?と考える。

この2つ、WHYとSO WHATの視点により、あなたは、どんな曲にも立ち向かえる、素晴らしい視点を手に入れられます。

まとめ

ざっくりとまとめると、

  • 歌詞を読んでイメージを膨らませる
  • 音を付けてイメージを膨らませる

この2つが重要で、

その根幹にあるのは、

  • なぜなんだろう?
  • それによってどうなるんだろう?

という、2つの視点である、という事をお伝えしていきました。

少々難しい話だったかもしれませんが、これはとても重要な事で、これさえできれば、他のどのクラスの指揮者にも負けない、めちゃめちゃ良い曲作りをできるようになります。

最後にお伝えしておきますが…

今回お伝えした内容は音楽の先生に聞いても教えてもらえない、とっても貴重なテクニックです。

だから、最初は完璧にできなくて構いません。間違った解釈もたくさんして下さい。

たくさん練習しているうちに、必ずしっくりくる答えに出会う事ができます。

頑張ってください。

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コメント

コメント一覧 (3件)

  • 匿名 より:

    参考にはなりましたが、ラテン語で歌うときのこととかも教えてくださるとありがたいです!

  • サイコーの指揮者を目ざせす より:

    これを読んで自信が無かったけど本番で成功出来そうな気がします。ここまで分かりやすいとすごく嬉しかったです。ありがとうございました。

  • バナナ より:

    私は、合唱コンクールで、指揮を振ることになって頑張っていきたいと思っていました。詩が難しくてどう分析したらよいか分からなかっけど、なんとなくできるような気がします。丁寧にもう一度分析していこうと思います。ありがとうございました!

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