こちらでは、中学校や高校の合唱コンクールや、合唱祭で指揮を振るんだけど、コンクールまで時間がない! 短い時間で何とかできないか!という人に、振り方のコツ、楽譜分析のコツ、練習のコツの3つに分けて、合唱指揮のコツをお伝えします。今回は、楽譜分析のコツについてです!
合唱コンクールで使える指揮のコツ
- 振り方のコツ
- 楽譜分析のコツ ←イマココ
- 練習のコツ
こちらでは、合唱コンクールや、合唱祭で役に立つ
楽譜分析のコツ、についてお伝えしていきます。
他の2つについては、こちらをどーぞ!(別リンクで開きます)
詩を読む
まずは詩を読むことから始まります。
最初はそんなに難しい事を考えなくて構わないので、
まずは読んでみましょう。
なんか暗い歌詞だな~とか、
難しい言葉が多いな~とか。
あるいは、
全体的に赤っぽいイメージだなぁとか
そういうイメージでも構いません。
なんとなくのイメージを持つのが大切です^^
で、なんとなくのイメージをつかんだら、
次は細かい部分に対して、丁寧にイメージを膨らませていきます。
言葉や助詞の一つ一つに気を付けて、
その単語から連想されるイメージ、その文章から連想される風景のようなものを
丁寧にイメージしていきます。
この時は、もちろん丁寧にやって欲しいのですが、
その時点ではどうしてもわからない箇所とかもあると思います。
その時は、それでOKです。
分からない場合は、分からないでよいので、分からなかったという事を覚えておいてください。
あるいはメモとか。
で、そのイメージが、曲全体に及んだら、
歌詞を読むのはいったん中止です。
続いて、音を付けて聞いてみます。
音を聞く
歌詞を読んだら、続いて、音を付けて聞いてみます。
ここでも、やる事はやっぱり一緒で、
メロディーやハーモニーと歌詞を合わせて聞いて、
どう感じたか、どんなイメージを持ったか、というのを考えていきます。
で、ざっくりとしたイメージが出来上がったら、
今度は細かく、丁寧なイメージを膨らませていきます。
この2つの作業、
- 歌詞を読んでイメージを膨らませる
- 音を聞いてイメージを膨らませる
をきちんと行えば、その音楽に対して、大まかなイメージが出来上がるかと思います。
そうしたら、それを基に、練習を組み立てていけば良いのです。
具体的な例
とは言っても、いささか抽象的な説明だったので、
ここいらで少し、詳しく例を出してみますね。
例えば、『赤とんぼ』って曲がありますね。
夕焼け小焼けの 赤とんぼ
負われてみたのは いつの日か
こんな具合の歌詞ですね。
で、これに対して、
- 歌詞を読んだイメージ
- 音を聞いたイメージ
の2つの作業を行っていきます。
まず、歌詞を読んだイメージからです。
夕焼け小焼けの 赤とんぼ
負われてみたのは いつの日か
この歌詞を見たときに、なんとなく赤っぽい印象を持ちました。
夕焼けってくらいですから、赤々として、ちょっぴり優しい感じの夕日で、
空気は温かい感じです。
負われてみたのは いつの日か
というのは、背中に背負われて夕日を見たのは、いつの日の事だったか
と回想しているシーンです。
ですから、この本人は、当時子供で、
誰かに背負われているから、目線は大人の目線かな?
そして、背負われているから、
背中の体温とかも感じられて、あとちょっぴり揺れているかもしれないな?
なんてことが想像つくわけです。
これは例なので、ざっくりとやっていますが、
実際の曲の解釈をするときは、もう少し細かく踏み込んでいきます。
具体的には、以下のようなポイントです。
- 夕焼けは何時ころ
- 目の前にはどんな風景が
- カラスなんかが巣に帰るところかもしれないな
- ここは何県だろう
- 地面は舗装されてるかな、畑道かな
- 自分と、背負う人以外に誰かいるかな
- 気温は何度くらいかな
- 風は吹いているかな
- 背負っている人はどんな服を着ているかな
- どこに向かって歩いているのかな
- どこから来たのかな
とまぁ、ずらーっと書いてみましたが、
このようなことを考えていきます。
これは質問をたくさん出すってよりも、
歌詞に描かれている情景を、よりリアルに、より繊細に想像するって感じです。
多分、最初の内は全然うまくできないと思います^^;
が、頭を動かし続けることが重要です!!
続いて、音を聞いたイメージを作っていきます。
想像しやすいようにYouTubeから音源を借りてみました。
理由は後で書きますが、あくまで参考程度ってことでよろしくお願いします!!
まず、低い音から「ゆうやーけ」と始まりますよね。
この時に「なぜこの音の動きをするのか」、
ってのを考えていきます。
どういうことかというと、
この作曲者は、無数にある音の動きの中から、
なぜわざわざ、低い音からだんだん上昇していく音型を選んだのか?って考えるのです。
これに関しては、正解というものがありません。
恐らくこうだろう、という推測はできても、
確実な答えは、作曲者に聞いてみないと分からないからです。
ですから、
失敗を恐れずに、色んな事を感じて、考えると良いと思います。
例えば、ですが、
僕はあの上昇恩恵を聞いたときに、泣くのを我慢しているのかな?と思いました。
泣くのを我慢していて、「こやけぇの」の部分で、一番高い音になる。
こんな感じかなって。
あるいは、下から上に音が上がることによって、
トンボが下から上にスーッと飛んでいくのを表現しているのかな、とか。
あるいは、遠くに山々が広がっていて、
その雄大さを表現しているのかもしれないな、とか。
こんな風に考えた中から、一番曲のイメージと合うものを選んでいくのです。
前後のイメージと、ぴったり世界がつながるように、
丁寧にイメージを作っては、検証をしていくのです。
こんな風にして、曲のイメージを作っていきます。
そうすると、他の誰のでもない、あなただけの音楽が出来上がるのです。
大切なのはWHY?とSO WHAT?
ここまで説明してきて、大事なのは
WHY? なぜ、この表現なのか?
SO WHAT? この表現によって、何を表したかったのか?
という2つの視点だという事に、なんとなく気づいてもらえたでしょうか?
なんで、この音型なのかな?という疑問を持つ。
そして、この音型で何を表現したかったのかな?と考える。
この2つ、
なぜ?と、それによってどうなる?の視点により、
あなたは、どんな曲にも立ち向かえる、素晴らしい視点を手に入れられます。
まとめ
ざっくりとまとめると、
- 歌詞を読んでイメージを膨らませる
- 音を付けてイメージを膨らませる
この2つが重要で、
その根幹にあるのは、
- なぜなんだろう?
- それによってどうなるんだろう?
という、2つの視点である、
という事をお伝えしていきました。
少々難しい話だったかもしれませんが、
これはとても重要な事で、これさえできれば、音楽の先生にも負けないくらいの
深い世界観を持つことができます。
ってなわけで、合唱指揮のコツということで、
楽譜分析のコツについてお伝えしていきました。
最後に言っておきますが、
この方法は、僕の秘伝級のテクニックです。
正直、ばらしたくないやつです。
というのも、
これができるかできないかで、その指揮者の実力ってのは大きく変わってきますし、
音楽に対する理解度も、かなり違ってきます。
それくらい、すごいテクニックなのです。
だから、最初は完璧にできなくて構いません。
間違った解釈をたくさんして下さい。
でも、やっているうちに、必ずしっくりくる答えに出会う事ができます。
人間の脳ってのは、そういう風にできているんです。
テクニックは伝授しました。
それを生かすも殺すも、あとはあなた次第です!
さぁ、頑張ってください!!
コメント
コメント一覧 (3件)
参考にはなりましたが、ラテン語で歌うときのこととかも教えてくださるとありがたいです!
これを読んで自信が無かったけど本番で成功出来そうな気がします。ここまで分かりやすいとすごく嬉しかったです。ありがとうございました。
私は、合唱コンクールで、指揮を振ることになって頑張っていきたいと思っていました。詩が難しくてどう分析したらよいか分からなかっけど、なんとなくできるような気がします。丁寧にもう一度分析していこうと思います。ありがとうございました!