こちらでは、指揮を振る上での最も基本となる「図形」の練習方法について、お伝えしていきます。図形の練習は一見単調ですが、そこには様々な要素が含まれていて、現在の自分のレベルによって、見える景色の変わってくる、非常に面白い練習です。
独学で学ぶ合唱指揮法講座3
それでは、図形の練習について説明していきます。
図形の練習には、2拍子、3拍子、4拍子と3つのパターンがあります。
最終的には、どの拍子も難なくこなせてもらいたいのですが、
ここでは、説明の都合上、3拍子の図形で話を勧めさせていただきます。
(なぜって3拍子が一番簡単で分かりやすいからです^^)
図形とは何か

図形を簡単に説明すると、この図のような感じですね。
人の前に、青い線で三角形が描かれているのが分かるかと思います。
これが3拍子の図形です。
で、図形の練習とは、この軌跡を丁寧になぞっていく事を指します。
底辺で構えを作って、手を眉間に持ってきて、
そこから三角形を描いていく、3拍子の図形を簡単に説明すると、こんな感じです。
図の説明
続いて、先ほどの図の説明に入っていきましょう!
もう一度先ほどの図をご覧ください。

まず、A、B、Cとアルファベットが振ってあるのが分かりますか?
赤い太字の奴ですね。
これは、場所を示しています。
- A 眉間の前
- B 底辺の左手ポジション
- C 底辺の右手ポジション
こんな感じですね。
そして図では、
A → (1) → B → (2) → C → (3) → A
このように、Aから始まって、BCを経由して、またAに戻る三角形が描かれています。
ちなみに、(1)~(3)というのは、拍数を表しています。
A→Bは1拍目、B→Cは2拍目、C→Aは3拍目、
といった具合ですね。
図形の具体的な練習
では、図の説明が大方終わったところで、
具体的な練習方法についてお話ししていきます。
まずは「底辺」を作ります。
背中をピンと伸ばして、お盆を持つように腕を前に出し、
その重さを背中で吊る、という例のあれですね。
※底辺を復習する場合はこちら↓
で、底辺を作ったら、底辺を崩さずに、利き手を眉間の前に持ってきます。
ちょうど、手の甲の中指の付け根が、眉間の30㎝くらい前に来る感じで、
肘は底辺同様、自然に曲がっていてOKです。
その状態が、図で言うAの部分に当たります。
こんなんですね(再掲)。

そしたら次は、Aの位置にある手を、Bの位置まで移動させます。
Bへの移動が完了した時、Bの位置では、2つの手がぴったり重なっている状態です。
Bまで移動したら、続いてはCへと移動させます。
Cに移動が完了すると、その時の格好は、底辺の構えに戻ってきます。
そして、Cへの移動が完了したら、Aへと移動させます。
こうして、底辺の構えから眉間にあげた手が、
A → B → C
といった具合に、三角形を描いたと思います。
これを、一定のテンポで継続して行うのが「図形の練習」というものです。
一定のテンポというのは、例えば、
テンポを60と決めたら、1秒で1拍を刻みながら、図形を描いていくという事です。
では最後に、図形の練習の注意点をお伝えしていきます。
図形の練習の注意点
各点の動きは、直線運動である事
A、B、Cと腕を動かしていく時は、直線運動でなくてはいけません。
途中でフラフラしたり、曲がったり、そういうのはアカンってことですね^^
等速運動である事
各点を移動するときは、直線運動に加えて、等速運動でなくてはいけません。
等速運動とは、常に一定の速さで動かし続けるという事です。
※なぜ等速運動でなければいけないのかは、別記事でお伝えします!
腕は常に動き続けている事
これは、先ほどの等速運動と関わってくるのですが、
腕は常に動き続けていないといけません。
点を通過するときも、あくまで”通過する”のであって、
点でとどまってはいけないのです。
利き手じゃない方の手は、底辺の位置からずらさない事
利き手で図形を描いている間、もう一方の手は、底辺の位置に固定されます。
これはやっているうちに分かってくるのですが、
図形を何週か描いていると、疲労や利き手の動きにつられて、
もう一方の手の位置が、最初の底辺からズレてきます。
これが起きないように、あるいは起きても直せるようにしてください!という事です。
さて、以上4点の注意事項をお伝えしました。
なんとなく理解してもらえたでしょうか?
これらは、自分の目だけでチェックするのは困難なので、
例えば鏡を使ったり、携帯で録画したりしながら、逐一確認していくのをお勧めします。
ずーっとやっていると、だんだん単調に感じてくる図形の練習ですが、
そこを乗り越えて続けることができると、あなたの指揮の基本的なレベルは、
ものすごく高くなります。
空手で例えるなら、正拳突きという極めて基本的な技でも、
素人と達人がやるのでは、驚くほど違いが出るって感じですね!
図形を継続する人は、指揮の動きがとても滑らかになります。
図形をサボる人は、素人臭さがいつまでも抜けません。
これを読んでいるあなたは、ぜひ前者になってくださいね^^
質問等があったら、コメント欄から受け付けていますので♪
では続いて、こちらの記事をどーぞ!

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