歌詞に神経を通わせることの大切さ(いざたて戦人よ)

お客さんを感動させるための、歌詞に神経を通わせる方法についてご紹介。

目次

1つ1つの言葉に意識をもつ

歌詞に神経を通わせるとはどういうことかというと、1つ1つの言葉(単語)を意識して歌うということです。

では、1つ1つの言葉を意識するとは何か?

それは、楽曲の中で、言葉がどういうニュアンス(意味合い)で使われているかを考える、ということです。

具体例を見てみましょう。

具体例:いざ立て戦人よ

合唱に携わる人なら一度は聞いたことがあるであろうこの曲。

最初のフレーズは、

「いざたて いくさびとよ みはたに つづけ」

こう始まります。

このフレーズを聞いただけでも、その合唱団がどのくらい言葉を大切にしているかがわかります。

「いざたて」

最初の言葉です、正確に書けば「いざ 立て」となります。

戦人に対して、さあ立ち上がれ!と呼びかける部分ですね。

呼びかける部分なので、当然「い」の音には勢いがなくてはいけません。

また「た」の音は、立ち上がれ!と呼びかける場面ですから、当然「いざ」とは違う響きを持つはずです。

が、、、ここで「いーざーたーて」とのっぺり(意識せず)歌う合唱団が多い。

「いくさびとよ」

次の言葉です。

この部分、メロディー部分に関してですが、上昇音型になっていますよね。

なぜ上昇音型になっているのか。

戦の前にテンションを上げているわけですよね。

そしたら「じゃあここはどう歌うべき?」って思考が働かなくてはいけません。

 

歌詞の途中に「く」と「び」の音が入っています。

「K」の音と「B」の音は、注意して歌わないと音に段差が生まれがちです。

加えて、「いくさびとよ」は上昇音型。

かなり意識しないと、「い、く、さ、び、とーよー」って聞こえてしまうのです。

「みはたに つづけ」

最後の2つですね。

「いざたて いくさびとよ」と上がってきたテンションが、「み」の音で頂点を迎えます。カッコイイですね。

 

ですが、気を付けないといけないのはここから。

「みはたに つづけ」は下降音型になっています。何も考えずに歌うと、テンションも一緒に下がっていきます。

曲の冒頭で0からグググッとテンションが高まりますね、「みはた」でガツーンとMAXを迎えます。

ここから、テンション下げますか?

戦に行くんですよね?

下げちゃダメですよね?

そう、フレーズを納めこそすれど、声の緊張感は下げるべきではないのです。

なので、「つーづーけ」の音はとても重要です。

緊張感を切らさないように、前に前に進んでいく必要があります。

ただきれいな合唱とそうでない合唱

言葉に神経を通わせられているかは、楽曲の迫力につながります。

ただ「きれいな合唱」をする人たちには、この意識が欠けていることが多いです。

 

いや、もちろん意識はしているとは思いますよ。

ただ、意識の矛先が「音程」「ピッチ」「リズム」とか、そういうところに配分されていることが多い。

 

むかし、僕の後輩指揮者がそうでした。

音感が良くて、ほんのちょっとの音のずれを修正して修正して修正して。

出来上がったのは、聴いてて眠くなるきれいな合唱でした。

 

「音程」「ピッチ」「リズム」が大切でない、なんていう気は毛頭ありません。

ですが、「どのように歌うか」を考えないと、迫力の無い、ただきれいなだけの合唱で終わりがちです。

言葉を意識するために必要なこと

では、どうすれば言葉を意識できるようになるのか。

 

これはズバリ、曲について考えまくることです。

例えば、さきほどの「いざ立て戦人よ」のフレーズ。

あなたが指揮する(歌う)としたら、、、

場所はどこですか?

気温はどのくらいですか?

周りには誰がいますか?

周りには何が見えてますか?

どんな音が聞こえていますか?

天気はどんなですか?

どんな臭いがしますか?

その時の気持ちはどんな感じですか?

と、こんなことを考えてみるのです。

そうすると、勝手に曲に対する理解が膨らんでいきます。

 

ここまで考えられたら、次に

「じゃあ、それを表現するためにはどう指揮すれば(歌えば)いいかな?」

を考えましょう。

この辺の考え方については、↓の記事に書いてあるのでそちらを参考に。

http://study-conducting.net/archives/249

まとめ

「歌詞に神経を通わせる」ことについて、具体例を出してご紹介しました。

一言で言ってしまえば、

「よく考えろ」

ってことです。

鳴れていないと最初は大変だし、時間もかかります。

でも、考えれば考えた分だけ、音楽に深みが出ます。

自分の指揮で合唱団を泣かせたり、お客さんを泣かせたりしたときの感動はハンパないですよ(笑)

ぜひ挑戦してみてくださいね。

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